• 唯一無二

    (獣)医師という仕事をしていると、平均生存期間とか中央生存期間という言葉をよく目にします。いわゆる余命のことです。テレビとかで「もってあと○ヶ月でしょう」と言っている場面があります。実際にこういうかどうかは分かりませんが、言われたらかなりつらいですよね。
    僕の腫瘍学の師匠はよくこんなことを飼い主さんに言っていました。
    「この子は世界で一人しかいないんだから・・・」
    病気について冷静に説明しなくてはいけない我々の立場からはどうしても過去の報告に沿ってお話をしなければいけないのですが、家族の立場からは過去のことはどうでもいいからこの子だけは違うと思いたいですよね。
    今、一日おきに点滴に通っている腎臓病のネコちゃんがいます。報告では数ヶ月しか生きれませんが、僕はもっと頑張ってくれると思います。

    本人(猫)の生きたいという意思と飼い主さんの献身的な看病、そして適切な治療があれば報告をはるかに超えて元気に生きることも少なくありません。
    そういえば半年前に「あと数週間かも」といったネコちゃんがいましたが、いまも何とか元気でやっています。

    教科書には「治療により希に長期生存することがある」と書いてあります。まさしくそれです。薬を取りにきた飼い主さんに「誤診だったかなあ」なんていうと「誤診でもいいです、元気ですから」なんて笑ってました。   

    往診

    「往診してくれますか?」という問い合わせがたまにあります。

    そういった場合、なつきどうぶつ病院では基本的にお断りしています。その理由として単純に往診の体制が出来ていないのです。

    体制とは①往診車②往診スタッフ③往診用検査機器のことです。

    これらが充実していないとちゃんとした診断治療が出来ないわけです。

    例えば単に「下痢」だとしても、場合によっては血液検査やレントゲン検査が必要になってきます。検便をするにも顕微鏡が必要です。もしかしたら緊急の処置が必要になってくるかもしれません。そういった場合はどうしても病院に連れてこなくてはいけなくなります。ということで前述の「体制」は必要になってくるのです。
    そういったわけでやむなく往診を断るわけですが、心配性の僕は電話を切ったあと必ず「大丈夫かなあ、やっぱ行ってあげた方がよかったかなあ。ちゃんと往診してくれる獣医さん見つかるかなあ」なんて悩んでしまいます。
    あゆみ先生が以前勤めていた病院は大きな病院でスタッフも充実していて往診車もあり毎日時間を決めて往診に行っていたそうです。
    高齢化が進む中、人医療での往診はかなり充実しているようです。動物も高齢化が進んでおりいろいろな病気が増えています。高齢者が動物を飼われている事も少なくありません。と言うことは獣医療でもこれから往診は充実していかなければいけないかもしれませんね。   

    仏か鬼か

    昨日こんなことがありました。
    夕食は外食にしようということで奥さんと協議した結果、あるステーキ屋さんに行きました。店に入ると普段は空いているのですが、日曜の夕食時ということで結構混んでました。呼び鈴を鳴らして少し待ったのですがまったく反応がなかったのでもう一度鳴らすとやっと来てくれて席まで案内してくれました。

    お互い注文が決まり待っていましたが水すら持ってこないので近くのウェイトレスさんに声をかけたところ、「今行きます」とのこと。しかし、そのウェイトレスさんは他の接客で忙しそうでまったく来る気配がしません。とうことで、僕らはその店を何も言わずに出てきました。
    短気なんだけど気の弱い僕はこういったケースで店を出てくることがたまにあります。
    文句を言ったほうがいいのでしょうか、気長に待ったほうがいいのでしょうか。やっぱ黙って出てくるというのはだめですかね。
    僕は獣医師ですが、話す相手は人間なので対応には気を使っているつもりです。しかし、きっと知らず知らずのうちに気分を害させしまっていることもあると思います。やっぱ、そういうときに突然黙って帰られたら一番困りますね。

    自分が困ることを人にするのはいけないことだと思いますので、今後は仏になるか鬼になるかどちらかにしようと思います。  

    3月になりました、もうすぐ春ですねー。愛犬セロ君も生後7ヶ月を過ぎまして、春とは関係ないとは思いますが最近マーキングをするようになりました。そろそろ去勢をしなければいけないかなと思います。
    自分の子となると手術はやっぱ少し気が引けますね。
    避妊・去勢については賛否両論あります。

    反対する人は「かわいそう」とか「自然のままがいい」とか「麻酔が怖い」といった意見が多いようです。賛成の人は「飼いやすい」とか「病気が防げる」とか「しないほうがかわいそう」などといった意見があります。僕としては病気の予防やストレスの軽減の点から基本的に賛成派です。
    確かにもし自分だったら去勢されるなんて絶対に嫌だし、親の勝手な考えで自分の大事なものを取って欲しくないとは思いますが、もし生きていく社会が女性と付き合ってはいけない社会だったら、小さいうちに去勢しちゃって欲しいかなとも思います。おまけに将来いぼじ(肛門周囲腺腫)にもなりにくくなるのですから。
    「春」という言葉からこんな話になってしまいましたが、今まで獣医をやってきて「去勢(避妊)をしてたらこんなことにはならなかったのに」と思う子をたくさん見てきたので少し書いてみました。
    動物は手術して欲しいとかして欲しくないだとかを話すことが出来ません。親代わりの飼い主さんがよく考えてあげてください。
    (決して避妊・去勢を手放しで勧めているわけではありません。)   

    例え好き

    2006年に入って結構日記を頑張っていたつもりでしたが、気がつけばもう二月も終わり、ちょっと間隔が開いてしまいました。
    その間、世間は荒川静香さんの金メダルに沸きあがってたかと思ったらなんだかよくわからないメールで盛りあがっているみたいですね。
    いわゆる「送金メール」確かにこれが本物なのか偽物なのか興味はあるところですが、よく考えてみると「だからなんなの」という気がします。国民の代表である国会議員の皆さんがこんなにも時間をかけて議論することなのですかねえ。僕ら国民としては本物であるほうがいいのでしょうか、それとも偽物のほうがいいのでしょうか、これは少なくとも僕にとってそのまんま東の離婚の原因ぐらいどうでもいいことです。
    この国会で騒がれている「送金メール騒動」を僕の仕事で無理やり例えてみみると、下痢が止まらないといって来院したワンちゃんに対して、「この子の眼は白内障だ、いや違う核硬化症だ」などと獣医師が議論している感じでしょうか。要するに「今大事なことはそんなことじゃない、ほかにやることあるだろう」ということです。例えべたですか?
    このように僕は何かにつけて例えることが好きです。この例えによって話が余計にわからなくなることも多々あるようですが、難しい病気の話をわかりやすくするためにがんばっています。(例えべたというよりまとめべたですかね)   

    メダル級

    今、世間はトリノオリンピックで大変盛り上がっています。

    普段はゲームセンターかパチスロぐらいでしか聞かない「メダル」という言葉が日本中を飛び交っています。

    本代表として行っている限り勝ってもらわないとという気持ちもわかりますが、日本代表に選んだ人たちなんだから何位になってもいわゆるそれが日本の順位なんだと言う考え方もありますよね。

    メダルを狙える実力があるからこそ期待されるのだと思いますが、あれだけ「メダル、メダル」と言うのもどうかなと思います。でも逆に悪気はないとは思うんだけど「私はメダルなんか要らない」なんて言われると、「おいおい、メダル狙ってくれよ」って思っちゃいますよね、ほんと自分勝手です。
    人に期待されてそれをやり遂げると言うことは非常に大変なことだと思います。どんな職業もそうですが、我々獣医師も少なからず人に期待される仕事だと思います。

    しかし、競技のように点数やタイムがあって順位がつくわけではないので、皆さまの期待にこたえられているかたまに不安になることがあります。
    昨日も、飼い主から一身の期待を受けてちょっと難しい手術を行いました。

    評価はおのずと付いてくるものですが、僕的にはメダル級の手術が出来たと思っています。