ニワトリの手術
先週の月曜日に高校生のときからの友人から電話がありました。
「知り合いが飼っているニワトリの鳴き声が最近大きくなってきて困っているんだけど、なんとかならない?」とのことでした。
答えは「う~ん・・・」です。
近くの動物病院でも断られ引き取ってくれるところもないため、このままではお肉にされてしまうとのこと(その子は名古屋コーチン)。
わらをもつかむ思いで、無理を承知で僕のところに来たわけです。
そういうわけなら何とかするしかない。
鳥は僕の専門外で、基本的に診療はお断りしています。当たり前ですが哺乳類ではない鳥は構造的に違うことも多いのです。ましてや鳴かなくしたい、完全に未経験の世界でした。
しかし、あらゆる知識や情報を総動員して一昨日なんとか手術を行いました。
僕たち人間や犬、猫などの哺乳類(全てかどうかは分かりませんが)は喉頭(のど)にある声帯等を使って発生しますが、鳥はもっと奥の心臓に近い気管分岐部にある鳴管というところを震わせて鳴くのです。そんな奥にあり、子供の小指ほどの太さしかない気管の一部である鳴管が震えなくなるように処置をするのです。(例えがちょっとマニアックですが)フェレットの副腎を取る手術やハムスターの腫瘍を取る手術よりも細かい手技だった気がします。
それでもなんとか手術は終わり、昨日無事退院しました。
そして今朝、その友人からメールがあり「鳴き声が5分の1の大きさになった」「飼い主も大変満足している」とのこと。
今後、手術の合併症やまた声が出るようになる可能性は充分ありますが、「鶏の無声手術(厳密には減声手術)」とりあえずは成功のようです。
※動物の無声手術は基本的にはやりたくない手術です。今回は殺されるという最悪の事態を避けるために行いました。ご理解ください。