フィラリアって何?
フィラリアって何?
寒さもひと段落し、春風が気持ちよく感じられるようになってきました。
人間にとっても、動物たちにとっても過ごしやすくなり活動的になれる季節ですね。
暖かくなると‘そろそろフィラリアの予防をしましょう’なんて文句をよく耳にされると思います。しかし、実のところフィラリアって何でしょう?
‘フィラリア’とは犬が蚊に刺されて感染する心臓の寄生虫です。人間も蚊に刺されると感染するのですが、白血球という血液成分が防御してくれるためフィラリアは人間の体の中で成長することはできません。しかし、犬の白血球はなぜかフィラリアを防御する機能がなく感染してしまいます。
蚊から犬の体に感染したフィラリアの子虫は犬の体の中を成長しながら自由に移動して、親虫になる頃心臓にたどり着き、そこを我家に決めて子供を産み始めます。大人になったフィラリアはそうめんほどの太さで長さは15~20cmほどもありますから、心臓がフィラリアの住み家になってしまうと血液の通り道がなくなってしまいます。そして様々な症状から死に至るのです。東海地方では、二夏予防しないと89%、三夏予防しないと92%のワンちゃんがかかってしまうと言われています。
予防の前に
生後4ヶ月以上のワンちゃんはまず血液検査を行います。なぜなら、すでに心臓内にフィラリアの親虫が存在した場合治療が必要となるからです。また親虫が生産した子虫が血液中に循環している場合、知らずに予防薬を与えるとアレルギーやショック症状を起こす可能性があるためです。昨年度予防をしているワンちゃんもきちんと予防できているかを簡易的な血液検査にて行います。また当院ではこれを機会に一緒に健康診断のための血液検査もお勧めしています。
予防の時期
蚊が媒介する病気ですのでフィラリア予防は蚊が活動するシーズンと大きな関係があります。蚊は気温室温が14度以上になると吸血活動を開始し、14度以下では刺すことなく活動停止、または死にます。つまり犬がフィラリアに感染する可能性は蚊が活動している期間と重なります。南北に細長い日本では南の沖縄と北の北海道では蚊の活動時期に何ヶ月ものズレがあります。そのため○月から○月までが蚊の活動期間ですと全国共通でいうことはできず、各々の地域のその年の蚊の発生状況によって○月から○月までが予防シーズンとなるのです。愛知県域での蚊の発生時期は4月下旬から11月中旬といわれています。そのため、5月から12月まで月1回の内服投与を行います。
予防薬について
蚊の活動期間に対して投薬期間が1ヶ月ずつうしろにずれるのは、フィラリア予防薬は実は?予防?ではなく、感染してから対処する?治療?だということを意味しています。つまり、蚊に刺されて子虫が犬の体内に入ってしまってから1ヵ月後に薬が効く虫に発育したものをまとめて駆虫するのです。ですから、蚊が完全にいなくなったと思ってから1ヵ月後に忘れずにシーズン最後の投薬をしてください。
フィラリアはきちんと予防をすれば感染を防げる病気です。予防効果100%の薬があるのにフィラリアにかかってしまうとしたら、それは飼い主さんの責任です。フィラリアにかかった犬は苦しみぬいて最期を迎えます。そうならないために、そうさせないために、ぜひフィラリア予防の知識をみなさん一人一人が広めてください。