ペット保険って何?
ペット保険って何?
当院でも初めて来院された患者さんには、‘ペット保険に入られていますか?’とお尋ねします。ほとんどの方が‘入っていません’という答えです。中には‘ペット保険って何?’と聞かれる方もいらっしゃいます。ペットを飼っている方でもまだまだ保険について浸透していないというのが現状ではないでしょうか?
そこで今回はペット保険についてまとめてみることにしました。
ペット保険は30年ほど前にイギリスで始まったといわれています。日本の歴史はまだ浅く、現在取り扱い事業者は20社前後しかなく、そのほとんどが数年の実績しかありません。
海外では保険会社などによる販売が一般的ですが、日本では任意の共済事業者による無認可商品がほとんどです。2006年4月から法改正により無認可共済事業者も規制対象になりました。
加入できるペットは?
犬と猫が基本で、鳥やウサギ、フェレット、爬虫類などの入れるものもあります。ほとんどが加入年齢制限を設けていますが、一度入れば終身継続できます。
加入審査は?
原則的に自己申告による申告書の提出だけです。申告書には飼育状況や健康状態、過去の受診歴、予防接種の日付などを記入します。生年月日は推定でも問題ないようですが、うそを書くと給付金が支払われないこともあります。
保障の形式は?
○定率保障型(治療費の一定割合を給付)
○定額保障型(治療費に関係なく一定の金額を給付)
○実額保障型(限度額内で費用の全額を給付) の3種類です。
掛け金の形態は?
固定制と変動性に大別され、月払いで二千円前後から四千円前後が目安です。 変動制の場合、年齢や体重、種類によって金額が変わり、1年ごとに見直しがあるのが普通です。
保障される内容は?
通院や入院、手術、がんなどによる治療費の保障が中心となります。死亡保障やペットが他人に咬みついてけがを負わせた場合などの賠償保障、予防接種費用保障などが付帯したものもあります。
最近は動物医療も進歩し、動物たちも高齢化してきました。その一方で高齢ゆえに、心臓病やガンなど重い病気にかかり治療が長期で高額になるリスクも多くなりました。しかし、私たち人間と異なり、ペットには医療保険制度がなく飼い主さんの全額自己負担となります。ですから私たち獣医師は治療方針を決めるとき飼い主さんと相談し、例えば‘血液検査にはいくらかかり、レントゲン検査にはいくらかかります’というような値段の説明も行います。そういう話し合いを行い、治療費が払えないので今日は薬だけ下さいというような方も少なくありません。私たちは動物たちに対して一番いい治療を行いたいと思っていてもお金の問題で断念しなければいけない時が一番つらいです。そういう時、ふとこの子が保険に入っていればなあと思うことがあります。
治療費を考えることなく早い段階で検査を行い、治療の選択肢が拡大すれば結果として動物の苦痛の軽減、治療費の軽減につながると思います。決して保険を勧めているわけではありません。保険に入らず毎月、○ちゃん積み立てという形で貯金をされている方もいらっしゃいます。
私たち人間も動物も生き物である以上寿命があります。何の病気もなく寿命が迎えられるのが一番いいことだとは思いますし、私も願っています。でも病気はいつやってくるかわかりません。ですから飼い主さんもその心構えをしておいて欲しいのです。 そして私たち獣医師もできる限り、最高の治療、最低の料金で動物たちを治療できるよう努力していきたいと思います。