歯磨きってどうやってするの?

歯磨きってどうやってするの?

お家で飼っているワンちゃんやネコちゃんの口が臭い!と思ったことはありませんか?
さっそく、お口の中をみてあげてください。
最近では動物たちも長生きをするようになり、歯肉炎や歯周病といった病気もめずらしくありません。歯が痛くて食べられなくなったり、歯のトラブルによって他の病気になってしまう動物たちがたくさんいます。
そこで、ぜひやっていただきたいのが歯磨きです。
今回は歯磨きの実践法を説明したいと思います。
できるだけ若い頃からやってあげるのがいいですが、高齢だからといってあきらめてはいけません。

ステップ 1 :口の周りや中を触られることに慣れさせる

まずは口の周りやマズルを触らせることに慣れさせます。このときによく褒めてあげたり、ごほうびをあげながらできるだけ楽しく行うことを忘れないで下さい。
最初は短時間で切り上げ、徐々に時間を長くしていきます。動物たちに行う歯磨きは 5 分以上行う必要はないので、練習もそれ以上にならないようにしましょう。
もし少しでも嫌がり始めたらすぐに中止し、また時間を置いてから試してみます。トレーニングを終えるときは常に嫌なイメージが残らないようにします。

ステップ 2 :歯磨き粉(ペースト)に慣れさせる

動物用の歯磨き粉の主な役割は、歯をきれいにするのではなく、むしろ歯磨きが楽に出来るように動物の好みの味がついています。動物用の歯磨き粉は何種類も市販されています。
自分のワンちゃんやネコちゃんが好きな味をみつけてあげましょう。
まず指に歯磨き粉を塗り、人が歯磨きをするときのようにやさしく指でこすります。犬歯からはじめてゆっくりと口全体へと広げていきます。歯だけではなく歯茎も同様にこすり、そしてつねに褒めてあげることも忘れないようにしましょう。
ここまでのステップを終えるのに毎日 2 ~ 3 分間、 2 ~ 3 週間かかることもあります。すぐにできなくても諦めずに続ければ必ずできるようになります。
(人用の歯磨き粉を動物に使ってはいけません。人用の歯磨き粉にはフッ素や発泡剤が含まれていて、刺激があります。)

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写真1

ステップ 3 :歯ブラシに慣れさせる

動物の歯をきれいにするのは歯ブラシの機械的作用であるため、ここが一番肝心なところです。犬専用の歯ブラシも販売されていますが、小児用歯ブラシ(柄が長く、ブラシが小さくて毛先の柔らかいもの)でも十分に代用できます。歯ブラシを始める前に毛先を湿らせ、ブラシに歯磨き粉をのせてからしっかりとブラシに押し付けます。(写真2)途中で歯磨き粉を追加することもあります。ペンと同じように歯ブラシを持ち(写真3)動物がブラシを嫌がらなくなるまで最初の数日は犬歯をやさしく上下にブラシすることだけを心がけます。(写真4)

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写真2

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写真3

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写真4

ステップ 4 :犬歯から奥歯をブラッシングしていきます

ステップ 3 の手順を受け入れるようになったら、今度は円を描くようにやさしくブラシを動かしながら、上の歯を犬歯から奥歯まで磨いていき、左右ともこれを繰り返します。ただし最初、前歯はさけるようにします。(写真5)少しずつ歯磨きの時間を長くして、歯に当てる力を強めていきます。ペットも飼い主さんも歯磨きに慣れてきたら、上の歯で行ったことを下の歯でやってみます。ここまでできるようになるには動物により数日から 1 ヶ月かかることもあります。歯石は歯の外側に蓄積することが多いので、歯の内側はあまり気にしなくてもよいでしょう。そしてどんなときも褒めてあげることが大切です。

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写真5

ステップ 5 :前歯をブラッシングします

最後は前歯のブラッシングです。ワンちゃんの場合は呼吸を妨げないように中指を鼻の上、人差し指を鼻腔と上唇の間、親指を下唇の上に当てます。(写真6)ネコちゃんの場合は、手のひらで猫の頭部を優しく包み、親指と人差し指で上アゴを包むように持ちます。 ( 写真7)

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写真6

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写真7
(資料参考:ウォルサム  Focus )

歯磨きができるようになるには、すぐできるようになる子もいれば時間がかかる場合もあります。飼い主さんがあきらめず根気強くやってあげることが大切です。
また、どうしても歯磨きが出来ないという動物たちに、人のデンタルリンスの作用に似た様なものもあります。

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写真8
ぜひ、今日から実践してみてください。そしてわからないことがあれば病院で気軽に質問してください。

冬になると多い病気は?

冬になると多い病気は?

最近、寒くなってきましたね。これから冬本番と言ったところでしょうか。
これから寒くなり気温が下がると多くなる病気の一つとして尿石症という病気があります。これは膀胱や尿道などに石ができ、おしっこに血が混ざったり、おしっこがでにくくなったりする病気です。寒くなった為に運動量が減ったり、水を飲む量が減ることにより起こりやすいとされています。ひとつでも思い当たることがあったら、動物病院に相談してください。

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どうして尿石症になっちゃうの?

◆ 尿路の感染

特に犬では膀胱炎などの感染により、尿の pH がアルカリ性になったり、尿石のもととなるアンモニウムが増加して、ストルバイト尿石が形成されやすくなります。

◆ 不適切な食事

ミネラルバランスの不適切な食事により、尿の中にリン酸、アンモニウム、マグネシウムなどが多量に排泄されるとリスクが高まります。

◆ 尿のpH

尿のpH が酸性・アルカリ性のどちらかに偏っていると尿石ができやすくなります。

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◆ 尿量・排泄回数

水を飲む量が少なかったり、トイレを長時間我慢したりすると尿が濃縮され、尿石ができやすくなります。

結晶から尿石ができるまで

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◆ 適切な食事管理

マグネシウムやカルシウムなどのミネラルを適切に調整し、尿pH のバランスが最適となっている食事を与えましょう。動物病院に聞いてみてください。

◆ 水分を十分にとらせる

いつでも新鮮な水が飲めるようにしてあげましょう。

◆ 環境を整える

特にネコちゃんはきれいなトイレを好みます。汚れているとおしっこを我慢することがあるため尿石症にもなりやすくなります。
また冬は暖房を入れる為、部屋を閉め切ってしまいトイレが別の場所にあるとおしっこに行けなくなることがあります。ドアを少しあけておくなど工夫をしてあげてください。

ぜひ、これからワンちゃんやネコちゃんのおしっこの状態をチェックしてあげてください。

ワンちゃんとお出かけするには?(国内旅行・飛行機編)

ワンちゃんとお出かけするには?(国内旅行・飛行機編)

やすくなってきたと思います。どこかワンちゃんとお出かけをしたいのだけど・・・と考えている方、思い切って飛行機での旅行も候補に入れてみてください。
お知らせや夏樹先生の日記にもあったように、病院のお休みをいただき北海道にセロを連れて出かけてきました。今回はその時のことを参考に飛行機でのお出かけの注意点をお話ししたいと思います。

まず、犬や猫などのペットは飛行機ではペットケージに入れ、手荷物として預けます。大きさはそれぞれ動物の体にあったものになります。参考にANAで貸し出しをしてくれるペットケージの大きさを表記しておきます。

サイズはそれぞれ航空会社によって違いますので確認をしてください。
ceroはLLサイズのものを購入しました。

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そしてここで重要になってくるのが、クレート・トレーニングです。
クレート・トレーニングとは、ペットケージやキャリーバッグなどの中におとなしく入っていられるようにするトレーニングです。飛行機だけではなく、車に乗せるとき、また病院に連れて行くときなどもクレート・トレーニングができていると、とても役に立ちます。 セロは約1ヶ月前からこのケージに入れて車でいつものドッグランまで行くようにトレーニングしました。初めは入ることを抵抗していましたが、2、3回乗ると自分で入っていくようになり、今では中で寝ていることもあります。このように、この中に入れば楽しいことが待っていると結び付けてあげましょう。ただ入れられるというだけではワンちゃんも嫌に決まっています。特に病院に連れて来る時だけ入れられるとワンちゃんも嫌ですよね。

預けている間は食べ物、飲み物を与えることができません。早めに与えておきましょう。 トイレも済ませておいた方がいいでしょう。

預けるところはANAの場合、「ペットらくのりカウンター」に搭乗の 30分前までに行きます。簡単な同意書にサインを行い、ペット料金を支払います。料金は片道4000 円でした。料金も航空会社によって違いますので確認してください。また、犬種によっては預けられない犬種もいますので確認した方がいいでしょう。

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あとは到着した空港のカウンターのところで引き取ります。

初めて飛行機に乗せたので、私たちの方が緊張していましたがセロは特に変わった様子もなく元気にしていました。

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ぜひ、みなさんもワンちゃんを連れて色々旅行に行ってみてください。

夏になると多い病気は?

夏になると多い病気は?

そろそろ暑くなり、夏を思わせるような陽気になってきました。
夏になると断然増えてくるのが耳の病気も含む皮膚病です。
外耳炎については前回お話したので今回は皮膚の病気について詳しく説明したいと思います。

まず、ヒトとワンちゃんの皮膚の構造の違いをみてみましょう。

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(資料提供:ゼノアック)

このように、ヒトと比較すると角質・表皮ともにとても薄く、ヒトよりワンちゃんの皮膚はデリケートだと言えます。そのため、被毛によって皮膚の弱い部分をカバーしているとも言われています。
さらにヒトとワンちゃんでは皮膚のペーハー(pH)も異なります。ワンちゃんは、ほぼ中性のpH7.5前後ですが、ヒトは弱酸性のpH5.5です。ですから、ワンちゃんにはその皮膚の状態を考慮したシャンプーを選ぶことが重要になるでしょう。
皮膚病は、大きく4種類分けられます。

①寄生虫による皮膚病
②アレルギー性皮膚病
③細菌性皮膚病
④真菌性皮膚病

その他には、ホルモン性の皮膚病や腫瘍などもあります。
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皮膚病にかかるとかゆみなどでワンちゃんはとてもストレスを感じます。
日ごろからスキンシップをとるついでに皮膚の状態をチェックしてあげましょう。この時期は特に換毛期で毛が抜けやすいです。ブラッシングをしたりこまめにシャンプーをしてあげましょう。
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狂犬病ってどういう病気?

狂犬病ってどういう病気?

今年は暖冬でそろそろ春の陽気も感じられるようになりましたね。
春になるとワンちゃんは予防のシーズンが始まります。
まずワンちゃんに必要な予防についておさらいしてみましょう。

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主に4つがあげられます。
今回は狂犬病予防接種について説明したいと思います。

狂犬病はラブドウイルスというウイルス性の人畜共通感染症で、名前からは「犬だけの病気」と考えられがちですがこのウイルスは人を含むすべての哺乳類に感染します。犬だけではなく猫、アライグマ、スカンク、キツネ、こうもりなどから人に感染することもあります。一般には感染した動物の噛み傷などから唾液と一緒にウイルスが伝染する場合が多く、傷口や目・唇など粘膜部をなめられたりした場合にも危険性が高いと言われています。
発病後の死亡率はほぼ100%で治療法はありません。記録に残っている生存例はわずか数例しかなくギネスブックにも登録されているそうです。
現在の日本においては1950年の狂犬病予防法施行による「生後91日以上の犬に狂犬病予防注射の接種と保健所への届け出の義務付け」や徹底した野犬の捕獲によって1956年以来、犬、人ともに狂犬病の発生はありません。
しかし世界ではまだまだ狂犬病が存在しており、毎年500,000人以上が死亡しています。

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(農林水産省ホームページより)

最近は犬に限らず狂犬病に感染している動物がペットとして海外から日本へ持ち込まれる可能性は常にあります。一例として2003年にボリビアで狂犬病に感染した状態でペルーから輸入されたハムスターが人を噛む事例が発生しています。このようにいつ日本へ狂犬病が再侵入してもおかしくないと言えます。私は日本では犬以外のペットに対して狂犬病予防接種が義務化されていないことは大変疑問に思います。

そして近年における日本の発生状況としては、みなさんの記憶にも新しいと思いますが昨年フィリピンに滞在していた男性2人が日本に帰国してから発症し2人とも死亡したニュースがありました。
私はこのニュースを見てゾッとしました。私は海外旅行をすると現地の犬や猫たちと一緒に写真をとったりするのが趣味で今までいろいろな動物と接触してきました。狂犬病の知識をもっていながらも日本に住んでいると実感がないため海外に出てからもこのような行動に出てしまったのだと反省しています。みなさんはこのようなことがないようにくれぐれも注意してください。

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また狂犬病予防接種の平成19年度登録は3月2日以降から出来ます。4月を過ぎると病院はどうしても混んでしまいお待たせすることが多いと思いますので空いている3月中の接種に来院されてはどうでしょうか?そのときにワンちゃんの鑑札番号がわかるとスムーズに登録できますのでよろしくお願いします。

動物が迷子になったら?

動物が迷子になったら?

動物病院には迷子になったワンちゃんやネコちゃんの問い合わせや迷子になっていた動物を拾ったという方が来院されることも少なくありません。また町中では「この子を知りませんか?」といったポスターを見かけたことがみなさんもあると思います。現在、日本で迷子になっているワンちゃんだけでも年間16万頭もいるそうです。そして飼い主さんの元に戻るのは1万6000頭ほどで全体の一割程度だそうです。私も子供のころ飼っていたシェルティーが逃げ出し、帰ってこなかったというつらい経験をしています。今でもその子は温かい家族にきっと拾われて一生を全うしたのだと信じています。

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近くの動物病院に連絡をするのもいいでしょう。
一般的にワンちゃんの場合は鑑札を首輪に付けるようになっています。またネコちゃんでも首輪に名前や連絡先を書いておくのがいいでしょう。
最近では マイクロチップ という電子標識も少しずつ普及してきています。動物を飼われている方なら耳にしたことがあるかもしれませんが、どういうものかとまだ知られていないのが現状ではないでしょうか?
マイクロチップとは動物の体に埋め込む小さなチップのことで、専用の読み取り器で識別を行い、飼い主さんの住所や名前などを短時間に判明することが出来ます。メーカーによって情報の内容やチップの大きさなどは異なりますが、なつきどうぶつ病院では『ライフチップ』というマイクロチップを扱っています。

ライフチップってどういうもの?

『ライフチップ』は、長さが13,5ミリ、直径2ミリという、ごく小さなカプセル状のもので、皮膚の下に埋め込みます。そして、専用のID番号読み取り器(リーダー)を近づけるだけで、検索用の15桁のID番号がすぐにわかります。
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どうやって埋め込むの?

体に埋め込むと聞くと、手術が必要なのかとか痛そうといった心配があると思いますが、専用の注射器で予防接種をするように行います。
通常の注射器に比べると太めの針ですが、痛みは予防接種を受けるときと同じくらいと言われています。

実際にcero くんにライフチップを入れてみました。
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安全性は?

体に優しい素材を使っていて、体内を移動することもありません。世界中で 450 万頭以上に埋め込まれてきましたが異物反応などは報告されていないようです。
また飼い主さんのプライバシーを守るセキュリティーも万全で、情報照会には24時間対応しています。

メリットは?

迷子になってしまったときに

身元が判明するので迷子になっても飼い主さんのもとへ戻りやすくなります。
なつきどうぶつ病院では迷子で来院された動物にはリーダーで照合を行っています。

海外渡航時に

日本を含め、マイクロチップを使った識別を動物検疫制度として義務化している国も少なくありません。動物のパスポートみたいなものです。

災害や盗難時に

首輪や名札では外れてしまう可能性もあるのでより確かな身元情報として力を発揮します。
兵庫県獣医師会では、阪神淡路大震災時に飼い主さんとはぐれた犬猫が多数発生した経験から、積極的にマイクロチップのチッピングを推進しているそうです。
現在普及段階にあるため全国の保健所にマイクロチップを読み取るためのリーダーがあるとは限りません。しかし普及に向かいマイクロチップのデータを管理しているデータセンター施設も整備されていますので、迷子になってしまった動物たちがみつかる可能性が高くなっています。
なつきどうぶつ病院では主に迷子になってしまった動物たちにかわいそうな思いをさせてしまわないように、マイクロチップの普及を目指しています。
私個人的には GPS 機能がついたマイクロチップが早く作られないかと思っています。そして携帯電話などでどこにいるかを探せられるといいですね。
マイクロチップについてご不明な点がありましたらお気軽にお問い合わせください。