• 危険な手術

    先日あるワンちゃんの手術をしました。
    卵巣と脾臓と肝臓の腫瘤をとる大手術です。
    年齢はなんと15歳と9ヶ月。
    正直、犬の平均寿命はとっくに過ぎています。
    病院に来た時は、状態も悪く「あと一ヶ月ぐらいの命ですよ」とお話もしました。
    ところが治療により状態が良くなってきたので、「手術をしましょうか」という話になりました。
    しかし、この手術にどれほどの意味があるのでしょうか。
    デメリットはたくさんあります。
    ・老齢なので、手術自体が負担である。
    →手術により状態がより悪化する可能性がある。
    ・手術が成功しても病気が治るとは限らない。
    →腫瘤が「がん」だった場合、根治は難しい。
    ・手術が成功しても長生きするとは限らない。
    →年齢的にいつ死んでもおかしくない。
    などなど。
    逆にメリットはというと・・・
    ・この病気を治すには手術しかない!
    それだけです。

    それでもご家族は手術を決断しました。
    僕の「自分の犬だったら手術します」という言葉が決断させた決め手だったかも知れません。
    獣医師としての言葉としては軽率だったかなと反省しています。

    つづく