免疫介在性溶血性貧血
たまには獣医師らしいことを書こうかなと思い、この年末年始にかけて僕が戦った病気について幾つか紹介しようと思います。
その第一弾が
「免疫介在性溶血性貧血」
少し難しい病名ですが、簡単に言えば自分で自分の赤血球を溶かしてしまって貧血してしまう病気なんです。
自分を守るべき免疫力が自分に対して攻撃してしまうんです。
怖いですね~
どんどん赤血球が溶けていくわけですから、放っておけばもちろん死んでしまいます。報告によれば治療をしても半数以上が1ヶ月以内に死んでしまうそうです。
怖いですね~
今回僕が治療したワンちゃんは正常では血液中に45%ぐらいある赤血球が15%にまで減ってしまいました。
成人男性で例えると血液約3.5ℓ分の赤血球がなくなってしまったわけです。献血で0.2ℓの血液を抜かれてベッドで寝ていた僕には想像も出来ないつらさだと思います。
なかなか治療に反応せずつらい時期もありましたが、ワンちゃん自身と家族の皆様、そして病院スタッフ全員が諦めず必死に看病、治療したことにより治療開始から約1ヶ月経った現在では赤血球はほぼ正常値まで戻りました。
でもこの病気はいつ再発するか分からないのでまだまだ治療は続きます。
でも本当によくなってよかったと思います。
今回治療するにあたり写真のジップ君から血液を頂きました。
ありがとね。
この病気は薬物や感染、腫瘍などが引き金になって起きることもあれば、原因不明で起きることもあります。決して多い病気ではありませんが、突然貧血になってしまう恐ろしい病気があることを頭の片隅にでも入れておくといいと思います。