信頼関係
2月も半分を過ぎ、春の訪れが待ち遠しい今日この頃ですが日に日に寒さが増しているような気がします。
毎年この時期はうざいぐらいに髪を伸ばして寒さをしのいできてましたが、今年は短く例年より寒さが応える気がします。
気休めにひげを伸ばしてみましたが全く意味がありません。
と時候の挨拶はこれぐらいにしまして、今回のタイトルは「信頼関係」です。
これを築くことはどんな仕事でもそうかもしれませんが、僕らが診療をする上で必ず必要で一番大切なことです。
しかし、もしかしたら病気を治すことよりこの信頼関係を築くことのほうが難しいことかもしれません。
他の病院に通っていた動物がある病気の診断を受けたけど家族の方は不安になり、当院に来院するケースがたまにあります。
しかし、話を聞くとその先生の診断は間違いなく説明もしっかりされており僕の入る余地など全くないということがあります。でもやっぱり信頼関係がないと家族の方は心配になってしまうんですよね。
ということで、信頼関係というのはすぐに築けるというものではないので動物たちが若くて元気なうちから「うちの子が将来どんな病気になってもこの病院なら任せられる」というところを見つけておくといいと思います。そして僕もそう思われるように頑張ります。
先日、雪道をノーマルタイヤの車で走ったのですが、結構余裕な僕の横で助手席に座ってるあゆみ先生は今にも泣きそうな顔で震えておりました。
雪道の運転に関してはまだまだ信頼関係が出来てないなと実感しました。
ちなみに写真はセロと一緒にソリを楽しもうと思ったのですがセロはとても嫌がっていました。こちらもまだまだなようです。
生きる質
突然ですが、もしあなたの命があと3ヶ月しかないとわかったときに足を骨折してしまったらそれを手術で治しますか?
もちろん命があと3ヶ月しかない理由にもよると思いますが、僕だったら手術はしてもらいます。皆さんもきっとそうだと思います。なぜならたった3ヶ月だけでも痛いのは嫌だし、また自分の足で歩きたいですよね。
例えとしては少し極端ですが、このような選択を迫られるケースは動物の場合でももちろんあります。特に僕が得意としている腫瘍(がん)の治療においてよくあるケースです。
例えば骨のがんはほとんどの場合が骨以外の臓器(特に肺)に転移を起こすことが多い為、いくらがんになった骨を手術でとっても延命の効果はあまり期待できません。しかし、いくら数ヶ月の命でも手術をしてあげることによって骨の激痛から開放されるのです。
胃のがんでもそうです。胃のがんも基本的に非常にたちの悪いものが多くて進行してしまうと完全に治すことは出来ません。しかし手術をすることによって少しの時間かも知れませんが、いままでご飯を食べてもすぐに吐いていたのが無くなり、おいしくご飯を食べることが出来るようになるんです。
もちろん手術だって100%安全というわけではありませんので、それぞれの治療の利点欠点を十分に説明してから最終的には家族の皆様に決めてもらいます。
ここで大事なのが決めるのが本人ではないということです。家族の皆様は自分だったらどうするかと考えて決めてあげてください。
今日は乳がんのモルモットさんが来院し、飼い主さんとよく話し合った上で手術はしないという結論に至りました。言葉を話せない動物たちのために、家族と獣医師がその子にとってどの治療が一番いいかを話し合うことは本当に重要だと思います。そしてその話し合いが今日は十分出来た上で手術はしないという結論に至ったのだと自分では思います(単なる自己満足かも)。
口腔内腫瘍
私、土曜日曜とお休みをいただき神奈川県で行なわれた「第27回日本獣医がん研究会」に行ってきました。ご迷惑をおかけしてすいませんでした。
今回のメインテーマは「口腔内腫瘍」でした。
口腔内腫瘍は悪性のものが多く、動物は言葉が話せない上にお口(奥地)の中なので発見されるは腫瘍が進行してからのことも少なくありません。
この口腔内腫瘍の一番の治療はやはり手術になります。
しかし相手は「がん」ですから簡単な手術では再発してしまいます。
なので口腔内悪性腫瘍の手術はほとんどが顎の骨を含めて取る手術になってしまいます。場合によっては鼻を取ることもあります。
顎を取るとか鼻を取ってしまうというと嫌だと思う気持ちはわかりますが、「がん」を取るんです。がんを取らないといずれ顎も鼻も全部がんに侵されてひどいことになってしまうんです。
僕は動物たちを治療するに当たって必ずその子が将来どうなるかを考えます。関節炎だとしたら今はそんなにひどくないけど3年後には歩けなくなってしまうかもしれません。だから今からそうならないように努力してもらいます。口腔内腫瘍の手術もそうです。今は腫瘍が小さくて平気だから(多分動物的には平気ではないはず)手術はしないのではなくて、3ヵ月後に大きくなってご飯が食べられなくなってしまう前にするんです。
先日当院で上顎の先端を切除したワンちゃんがいました。そのこは老齢で僕も手術をするかどうか迷いましたが、今はとても元気で絶好調です。
想像したくないことですが、もし自分の家族である動物たちが病気になってしまったとき、その子の将来のことを考えた今できる最良の治療を主治医の先生とよく相談して決めてあげてください。
※写真は愛犬セロの若かりし頃の歯ブラシシーンです。
歯ブラシを習慣付けることによって歯周病予防はもちろんのこと、日々の口腔内のチェックが出来るようになりますよ。
文明の利器
いきなりですが、携帯電話を買い換えました。
前の携帯を買ったのは5年ぐらい前でしょうか、とても頑張ってくれました。
携帯を使い出したのは確か大学2年生ぐらいだったと思います。それから約12年が経ちましたが今回の携帯は3台めだと思います。1台めも2台めも壊れたので買い換えました。壊れてもないのに買ったのは今回が初めてです。でもたくさん使うと充電が一日しかもたない状態だったので壊れているのと同じでしょうか。
僕にとって携帯は「携帯できる電話」でしかありませんから通話が出来る限り携帯を変える必要はなかったのです。
でもどうでしょう、今回新しい携帯を買ってびっくりしました。写真が撮れるのは当たり前でテレビが見れるし音楽も聴ける、ゲームだって出来る。インターネットまで出来るんです。メールだって絵文字がかわいく動くんですよ。
そりゃあみんな電車の中でも必死に携帯を見ているはずですよね。
昨春から毎週新幹線で大学に通っている僕もこれでこれからは少し退屈がしのげそうです。
買った携帯をカメラで撮って自慢しようと思いましたが、携帯を携帯で撮る事はできないんですね(残念)。
動物病院の院長がこんなことを書いているとなんかとても頭が悪くて病院の機械もすごく古いアナログ病院と思われそうですが、そんなことはありませんのでご安心下さい。
沈黙の臓器Ⅱ
昨日、知り合いの動物病院へ助っ人として手術を手伝いに行ってきました。
手術の内容は「犬の肝臓腫瘍摘出手術」です。
そのワンちゃんはとても元気でパッと見はどこも悪くないように見えるのですが、お腹に目をやると明らかに大きく触るとかたく大きなものがわかります。
柴犬ぐらいのワンちゃんのお腹の中に20cmぐらいの大きな腫瘍があるのです。
それでもワンちゃんは元気なのです。いや多分元気に見えるだけなんです。
手術は困難を極めるものでした。お腹全体を占める腫瘍を癒着や血管を丁寧に分離しながら摘出するのです。
なんとかその肝臓腫瘍は摘出できましたが、そのワンちゃんはもしかしてそんなに長くないかもしれません。摘出した肝臓以外にも腫瘍はお腹の中に存在するのです。それでもこのワンちゃんにとって今回の手術によってお腹の中の大きな腫瘍が取れてとても楽になったと思います。
結局は何を言いたいのかというと、言葉を話せない動物たちを病気から守れるのはいつも一緒にいる家族の皆様だということです。
動物たちが調子が悪くなるのは本当に悪くなってからですよ。
今回のワンちゃんをみて本当に動物は我慢強いなと思いました。
そして予防医学の大切さを痛感しました。
あけまして
もう9日が経ってしまいました。
新年の挨拶日記を書いたつもりでしたが、最後のクリックを忘れていたようです。
さて2008年も始まりましたが今年は獣医師会の夜間病院のお手伝いがあり、年越しは仕事をしていました。
元日は病院はお休みなのですが、お預かりのワンちゃんやネコちゃん、ハムスターさん達がいたので僕一人で寂しく動物たちをお話をしながらのんびり過ごしました。
2日と3日はお休みをいただき、あゆみ先生の岡山の実家に挨拶に行ってきました。
そして4日から普通にお仕事です。
今年もたくさん年賀状をもらいましたが、その中に「日記見てますよ」というコメントが結構あります。そして大体が「・・・らしいね」とあります。
これは僕らしくて良いのかどうなのかが気になります。
まあ、この日記を続けてもうすぐ3年、いままでこんな感じでやってきたので少し更新のペースは落ちてますがこの調子でいかせていただきます。
最後になりましたが、今年も人間動物共々、皆様が健康で幸せな一年であることを心から願って新年の挨拶とさせていただきます。