• 伝言ゲーム

    先日当院に生後45日のワンちゃんが調子が悪いということで来院しました。
    そのワンちゃんは3日前にペットショップで購入したというのです。
    はっきり言って「ありえません」。小さすぎです。
    恐らく生後一ヶ月ぐらいで親兄弟の元から離されペットショップのショーケースの中に入れられたんでしょう。
    聞くところによるとご飯は一日二回で大丈夫といわれ、育て方の説明も程々だったそうです。
    いくら成長の早い動物だといえどもまだ生後一ヶ月ですよ。人間の子供だったら一瞬も目を離せないでしょうし、ミルクだって一日に何度も何度もあげますよね。
    そんなか弱い子が親元から離れ、ペットショップから新しい家族へと、短い期間で環境が激変するんです。
    そりゃあ調子が悪くなるのは当たり前ですよね。
    僕はこのどこにも向けられない苛立ちの矛先をどうしても隠せず、そのこの診察中はかなり怖い顔をしていたと思います。
    ワンちゃんとご家族に皆様には関係ないのにごめんなさい。
    ということで、この日記を読んだ方は3日以内に3人以上に「動物は生後三ヶ月ぐらいがいい」と教えてください。
    もちろんその3人はそれぞれ3人に教えるんですよ。
    そうすれば、もしこの日記を読んだ人が20人だとしても、3日で60人、6日で180人、9日で540人・・・・30日で約120万人、そして50日で1億3千万人に伝わるはずです。
    そうすれば2ヵ月後には今回のようにかわいそうなワンちゃんはペットショップに並ばなくなるはずです。
    よろしくお願いします。
    でも最後のほうはこの教えが変わってるようで怖いです。
    ちなみにワンちゃんは元気になりましたよ。 

    ただいま

    昨日、一昨日と神奈川県の麻布大学で行なわれた日本獣医がん研究会に参加してきました。
    麻布大学というと今僕が通っている大学でして、毎週木曜日に行っているのですが、木曜日に行って帰ってきて金曜日働いてまた土曜日に大学に行くのは、体力的にも経済的にも得策ではないと判断して、木曜日から昨日の日曜日までずっと向こうに行っていました。
    ごめんなさい。
    さて、今回のメインテーマは「消化管腫瘍」でした。
    消化管とはいわゆる、胃や小腸、大腸のことです。
    当たり前ですが、これらはお腹の中にあります。ですから、もしガンができても見た目ではわかりません。もちろん動物たちはお腹に違和感があっても教えてくれません。病院にも一人では来れません。
    ということで、いつも言っている事ですが動物たちの健康は家族である皆さんがしっかり守ってあげてくださいね。
    ちなみに今回は人間のお医者さんもお呼びして、人の消化管腫瘍についての講義をしていただきました。
    人は大腸がんが多いみたいですね。
    肉を食べないほうがいいみたいですよ。
    今日の僕のお昼ごはんは牛丼でした。
       

    がんばらなくっちゃ

    今年に入って頑張っていた日記ですが、また間隔が空いてしまいました。
    最近いろいろなことがあり、少し落ち気味です。
    やはり気分的にまいってるとキーを打つ手も進まないんですよね。
    なので、もし今後また日記の間隔が空くようなことがあったら応援メールでも送ってください。
    昨日はある獣医師仲間との新年会がありました。
    お酒が入るとどうしても話は弾み、ヒートアップして行き、なにやら相当大きな話しになっていってしまいました。
    詳しい内容は書けませんが、この話しが実現すればすごいことだと思います。すごい楽しみです。
    でも、その盛り上がってる話しの結構真ん中の方に僕がいたような・・・
    まあ、やるしかないですね。
    Yes,we can. 

    口腔内扁平上皮癌

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    今回の病気は読んで字の如くお口の中の癌です。
    今までの日記で何回も書いているようにワンちゃんは比較的お口の中に腫瘍が出来やすいわけですが、発見が早ければその腫瘍と一緒に顎の骨、もしくは顎ごと摘出すれば根治も不可能ではありません。
    でも今回紹介するワンちゃんはそういうわけには行きませんでした。
    下の顎半分が全体にわたって癌に侵されていたのです。
    手術で取るとしたら、下顎半分を全て取らなければいけません。
    でも僕は言いました。
    「このまま放っておいたら腫瘍が大きくなってご飯が食べられなくなります。今でも相当痛いと思います。手術しましょう。」と。
    もちろん手術をしても再発するかもしれません。
    全身に転移していずれは癌で死んでしまうかもしれません。
    大量の出血の恐れがある手術ですから、手術中に死んでしまうかもしれません。
    でもご家族の皆さんはそれを承知で今のつらさから開放してあげたいという願いで、手術をご希望されました。
    そして手術は大(?)成功!
    すごく元気になってご飯も食べすぎて困るぐらいだそうです。
    やっぱり相当痛かったんですね。
    でも、発見があと1ヶ月遅かったら手術は出来なかったしょう。
    でも逆に発見があと1ヶ月早ければなあとも思います。
    ということで、口腔内の腫瘍は決して珍しいものではありませんので、たまにはお口の中のチェックもしてあげてくださいね。 

    免疫介在性溶血性貧血

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    たまには獣医師らしいことを書こうかなと思い、この年末年始にかけて僕が戦った病気について幾つか紹介しようと思います。
    その第一弾が
    「免疫介在性溶血性貧血」
    少し難しい病名ですが、簡単に言えば自分で自分の赤血球を溶かしてしまって貧血してしまう病気なんです。
    自分を守るべき免疫力が自分に対して攻撃してしまうんです。
    怖いですね~
    どんどん赤血球が溶けていくわけですから、放っておけばもちろん死んでしまいます。報告によれば治療をしても半数以上が1ヶ月以内に死んでしまうそうです。
    怖いですね~
    今回僕が治療したワンちゃんは正常では血液中に45%ぐらいある赤血球が15%にまで減ってしまいました。
    成人男性で例えると血液約3.5ℓ分の赤血球がなくなってしまったわけです。献血で0.2ℓの血液を抜かれてベッドで寝ていた僕には想像も出来ないつらさだと思います。
    なかなか治療に反応せずつらい時期もありましたが、ワンちゃん自身と家族の皆様、そして病院スタッフ全員が諦めず必死に看病、治療したことにより治療開始から約1ヶ月経った現在では赤血球はほぼ正常値まで戻りました。
    でもこの病気はいつ再発するか分からないのでまだまだ治療は続きます。
    でも本当によくなってよかったと思います。
    今回治療するにあたり写真のジップ君から血液を頂きました。
    ありがとね。
    この病気は薬物や感染、腫瘍などが引き金になって起きることもあれば、原因不明で起きることもあります。決して多い病気ではありませんが、突然貧血になってしまう恐ろしい病気があることを頭の片隅にでも入れておくといいと思います。 

    今日は

    満月。
    寒い夜空を見上げると、きれいな満月が見えますよ。
    冬は寒いけど、星空がきれいなのがいいですね。
    ところで、月がとても大きく見えるときってありますよね。
    どうしてか知ってますか?
    それはただの錯覚なんですよ。
    天高く空にぽつんと月がある場合は小さく見えますが、低い位置にあるときは建物などと一緒に見えるから何だか大きく見えるんです。
    でも月が地球を回る軌道は楕円なので実際にも少しは大きさが変わっているんですよ。
    ちなみに次の満月は2月9日ごろです。